集合住宅のアイデア階段
私たち設計者は、工事費を出来るだけ抑制して、建主にご満足いただけるデザインを生み出す努力をします。
「経済性の高い」賃貸マンションの建築では、特に合理的設計と合理的なコスト管理が大事です。
「利回り=想定賃料/工事費」による事業性によって、プロジェクトの行方が大きく変わります。
賃貸マンション設計の際に、不動産会社の方が重視するのが「賃料が発生するエリア」です。
つまり、「賃貸住戸の面積・仕様・デザイン性」によって、賃料が発生します。
一方で、エントランス・エレベーター・共用階段などは「賃料が発生しない部分」です。
私たちが設計する階段では、少しゆとりを持った寸法にします。
とても階段ですが、賃貸マンションでは大多数の方がエレベーターを使用します。
どうしても必要な階段には、当然コストもかかります。
私たちは必要な階段に、テーマを持たせて新たな価値を生み出すことを考えています。
“Forests of Grids”では、屋外階段と中庭を接続させて「歩いて楽しい」階段を設計しました。
エントランスホールから一度中庭に出て、自然を感じながら階段を登ってり降りたりできます。
「蚕糸の森アパートメント」では、前面に広大な公園がある計画地の貴重な特徴を活かすことを考えました。
公園に向かって広がる屋内階段は、公園の景色を建築内部に取り込みます。
四季折々の自然の変化を楽しみながら、毎日過ごせるイメージです。
“Void in a Forests”では、厳しい法規制を逆手に取ってデザインした、中庭のヴォイドに屋外階段を配置しました。
中庭を見下ろしながら、そして石神井公園の樹木を眺めながら階段を登ったり降りたり出来ます。
このように「実生活では使われる頻度が小さい」集合住宅の共用部の階段に大きな特徴を持たせて設計します。
建築のデザインコンセプトとアイデアを具現化する空間として、階段を設計することは、デザイン性を高めるだけでなく、経済的合理性も高めます。
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